対話で創るこれからの「大学」2019年度シリーズ第3回 「『できない』を『できる』に変えていく力」を開催しました

ナレッジキャピタル超学校 大阪大学COデザインセンター×ナレッジキャピタル:対話で創るこれからの「大学」、2019年度は”向き合い続ける”をテーマにしています。

社会の中に新しい価値をつくり出している実践者と大阪大学の教員の対談を3回に渡って開催してきました。今シーズン最終回(2019年10月1日(火)実施)は、51人のみなさまにご参加いただきました。

ゲストは、広瀬浩二郎さん(国立民族学博物グローバル現象研究部館 准教授)と、渥美公秀さん(大阪大学大学院人間科学研究科 教授)のお二人です。

前半は、それぞれ自己紹介をお願いしました。

広瀬さんは、中学1年生で視力を失いました。全盲という状態で40年間過ごす中で、自分の障害に対する受け止め方も少しづつ変わってきたそうです。この日は、「歩く」「触る」「語る」という3つのキーワードを挙げて、それぞれ「向き合い続けること」に関連づけてお話をいただきました。

例えば、「触る」については、仏頭彫刻のレプリカを触って鑑賞する様子を動画で示しながら、「触る」ことを見ることの代替手段としてとらえるだけでなく、触るからこそ得られる情報があるということを紹介していただきました。

渥美さんは、心理学がご専門です。神戸大学で教鞭をとり始めた直後、阪神・淡路大震災が起こりました。そこから日本災害救援ボランティアネットワークというNPO法人を立ち上げるなど、25年間、研究者としても、1人のボランティアとしても、災害の現場に向き合い続けてきました。

災害時のボランティアが広まってきた一方で、今もなお災害現場では、高齢者や障害者などが「助けて!」と発信できずに犠牲になるということが起こり続けています。近所同士などでのちょっとした気づきや手助けができない社会をどうにかしなければ、ということが改めて課題であると感じていらっしゃるそうです。

後半は、ゲストのお二人がお互いに質問を投げかけ合いながら、対話を進めました。

例えば、ボランティアのあり方について、「支援する・される」といった関係ではなく、一緒に目標を分かち合う存在、何かを一緒に創り出すような関係性になれないか、という議論がなされました。

ここまでの対談を受けて、進行役の八木絵香准教授から、「『向き合い続ける』というのは、『決めつけない』ことにつながるのかもしれない。外部の人間が勝手にその関係性や状況を決めつけるのではなく、当事者の声を丁寧に聞きながらどうやったら解決に向かうことができるのかを考え続けることが大切なのだろう」と、今シーズン全体を振り返るコメントもありました。

ナレッジキャピタル超学校 大阪大学COデザインセンター×ナレッジキャピタル:対話で創るこれからの「大学」、2019年度は今回で終了となりました。本シリーズも多くの方に足をお運びいただきました。ありがとうございました。

(https://www.cscd.osaka-u.ac.jp/co/2019/000748.phpより転載)

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