対話で創るこれからの「大学」 2017年度シリーズ第1回「価値をわたしたちのものにする」を開催しました

ナレッジキャピタル超学校 大阪大学COデザインセンター×ナレッジキャピタル:対話で創るこれからの「大学」、2017年度のシリーズがスタートしました。

私たちとしては、今回のシリーズをSeason 3と捉えています。

Season1(2016年度 第1回〜第4回)は、分断した「知」をつなぎ、社会に実装する力「高度汎用力」とは何か、ということをテーマにした対談(鼎談)をお送りしてきました。Season2(2016年度 第5回〜第8回)は、「高度汎用力」が社会で展開されている具体例として、社会の中で異なる分野・立場が持つ知恵や経験の「つなぐ」方法について考えました。

今回のSeason3(2017年度 第1回〜第3回)は、「とらえなおす」がテーマです。
新しいモノ・コトをつくり出す一歩手前で、いまここにあるものをとらえなおすこと、を様々な領域の実践者をお招きしつつ考えていきます。

2017年8月2日(水)に開催したのはSeason 3 第1回「価値をわたしたちのものにする」。会場は、グランフロント大阪北館 ナレッジキャピタル1Fにあるカフェラボです。
この日は、52人のみなさまにご参加いただきました。

今回お招きしたのは、貼箱ブランド「BOX&NEEDLE」の代表で、ラーニングデザイナーとしても活躍されている大西景子さんです。

対談のお相手は、哲学者のほんまなおきさん(大阪大学COデザインセンター 准教授)。
哲学カフェなどの様々な対話の場をつくってきました。ほんまさんは、BOX&NEEDLEで購入したピンク色の扇子を持ってきていました。

この日の対談は、扇子に貼られたBOX&NEEDLEオリジナルの友禅和紙についてのお話からスタートしました。

1時間弱の間に、いろいろな観点のお話が出てきたのでここに短くまとめるのはとても難しいのですが、参加者のみなさんが印象的だったと書いてくださった言葉をお借りしながら、その一部をご紹介してみようと思います。

「モノを媒介してエピソードが、会話が、広がる。」
目の前に置かれた箱や紙があれば、「何を入れよう?」「どう生活の中に取り入れよう?」と具体的なイメージが広がります。
目の前にあるものをみて、今感じていることから対話を始めることができます。
そんなモノを介した対話が、大西さんが普段されていること。
一方、ほんまさんが取り組んでいらっしゃる対話の場で「箱」にあたるものは「質問」なのだそうです。
例えば、病院の中で行われる患者さんの会合で行う哲学対話で問いかける質問は、「夏祭りの思い出って何ですか?」。
患者さん同士が、「病気の人」としてではなくて「今まで生きてきた人」として語り合う・聴き合う場づくりをされているそうです。

「選択するという行為の中にその人の価値観が現れるということが面白いと思った。」
大西さんのお店を訪れるお客さんの中には、箱を選ぶために1時間以上もずーっと考えていらっしゃるような方々がいらっしゃるそうです。
そうやって購入されたものは「商品」というよりも「生活の一部」「自分の一部」になっているのでしょうね、そして、選んだものによって、その人の振る舞いが変わるということもあるのでしょうね、というお話がありました。

「箱と心、箱と人に共通点があるということ。」
対談終盤で、「箱って『中に入っているものが見えない』ということが一番大事で、一番ワクワクする。」と大西さんがお話しされたのを受けて、ほんまさんが、「それって、人の心も同じかもしれません。見えるようでみえてない。でも、そっと開かれることもある。」と発言されていました。
複数の方がこのフレーズをアンケートに記入されていました。

「お二人のベースに流れるものがとても共通していた点」というコメントもありました。
暑い夏の夜でしたが、さわやかな風のような対談でした。

https://www.cscd.osaka-u.ac.jp/co/2017/000213.phpより転載)

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