サイエンスカフェ@千里公民館「再生医療とミライの生き方」を開催しました

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2019年10月15日(火)、千里公民館において、サイエンスカフェを開催しました。この日の参加者は15人(大阪大学や豊中市の関係者を除く)でした。1歳のお子さん連れの参加者もいました。

今回のテーマは「再生医療とミライの生き方」。ゲストとして、生命倫理や医学倫理などを専門とされている加藤和人さん(大阪大学大学院医学系研究科 教授)をお招きしました。

この日も、前回(自動運転とわたしたちの暮らし / 2019年6月26日開催)と同様に次のようなスタイルで実施しました。
・参加者のみなさんには、少人数のグループに分かれて座っていただく。
・「対話ツール:新しい医療と、くらし」を使って、この日のテーマを簡単に紹介。
・グループごとにテーマについて対話し、その内容を会場全体で共有した後に、ゲストにはコメントや質問への回答をお願いする。
・各グループには大阪大学の学生が1-2人ずつ加わって、対話のお手伝いをする。
・対話のお手伝いをしたのは、主に授業「科学技術コミュニケーション入門A」でファシリテーションスキルについて学んだ受講生たち。

「再生医療ときいてパッと思いついたコトは?」「再生医療に期待すること、不安なことは?」という問いかけが書かれたワークシートを活用しながら、グループでの対話が始まりました。参加者のみなさんそれぞれが持っている経験を共有していきます。

ご自身の治療の体験から、新しい技術を用いた治療内容の説明が不十分であったり、トータルでかかる費用がどんどんかさんでいって不安を感じたことなどを語る方。将来的に再生医療にも保険が適用されることになるのかどうかを気にされる方。いろいろな期待や不安の声が聞こえてきます。

ひととおり議論が進んだところで、それぞれのグループで出てきた意見やゲストへの質問などを、会場全体で共有しました。ゲストの加藤さんにはみなさんからの「実際、再生医療の研究はどの程度進んでいるのか?」「ライフサイエンスに関わる倫理とAIやロボットに関わる倫理、どこが共通していて、どこが違うのか?」といった疑問にお答えいただきました。

後半は、前半のグループ対話で出てきた意見や加藤さんからのお話を踏まえつつ、「再生医療を進めるにあたり何を大切にすればよいか?」というお題について話し合ってみました。

「研究や治療を進めて良いかどうかは、誰が決めるべきなのだろうか?」「研究者の暴走をくい止めるような国際的なルールなどはあるのだろうか?」「再生医療のあり方を決める際に、本当に民意は反映されるのだろうか?」「再生医療の普及を考えたら企業が担う部分は大きくなるはず。ただ、企業の利益と公共の利益とのバランスが崩れてしまうことはないのだろうか?」さまざまな観点が出てきました。

加藤さんからは、再生医療研究の進め方について、国際的な動向や海外事例についてもご紹介いただきました。例えば、ゲノム編集に関してはWHOやユネスコなどでも議論が行われている一方で、幹細胞研究に関しては、国際幹細胞学会でガイドラインの策定がおこなわれているということ、アメリカなどでは患者団体が多様な活動をしており日本も見習うべき点があるということなど、それぞれの質問に丁寧にお答えいただきました。

「いろんな方の意見をきくことで新しい視点が得られて、また参加したいと思いました」とアンケート用紙に書いてくださった方も。これからも、多様な価値観や視点が交わる対話の場づくりを目指していきます。

グループでの対話をお手伝いした学生たちも、自分たちの研究が社会でどのように受け止められるのかを考えたり、実体験に基づく議論に刺激を受けたりしたようでした。

http://stips.jp/20191015/より転載)

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